投網はなかなか奥が深い。土佐流と細川流に大まかに分けられるが次をご覧ください。


         エキサイティング!投網
                                                       


 投網と言えば何か小父さんくさいと思われがちで、釣りに比べ若い人でする人は少ないです。特に女性では皆無に近いと思います。しかし釣りには無いエキサイティングな面が有ります。内水面での投網の主要なターゲットはアユに成りますが、海では河口のチヌやスズキ、砂浜でのキスなども昔からの獲物です。私はその他では、撒き餌を使ったワカサギやコアジなどを狙う時も有ります。

 今回は琵琶湖の外来魚を目標に、外来魚バスターズの如水さんを、琵琶湖で特訓して見ました。
 7月8日(日)午後3時に京都を出発して、4時過ぎに琵琶湖大橋東岸の、やや北に入った所の砂浜で特訓の開始です。

日没まで3時間余りです。投網初挑戦の如水さんの網が開くかどうかは、未知数です。如水さんは京都の網店で6畳の網を購入し、準備しています。私は10畳の網を準備しています。

 まずは私が肩ならしの為に、土佐流(三手取り)、細川流(掬い取り)で網を打ちます。私は小学生の頃に近所に住む渓流釣りと投網の名人の老人に弟子入りして以来、30年余りに成ります。しかしここ10年程は余り網を使わなかったので、肩ならしが必要です。
細川流が決まったところ!土佐流での肩慣らし

 左の写真は細川流で10畳の網を開けた所です。この打ち方は網の1/3を片方の肘に掛け、残る2/3をもう片方の手の指で五等分して投げる方法です。大型の網を打つのに適しています。

右の写真は土佐流で6畳の網を打った所です。この打ち方は網の1/3を片方の肘に掛け、後の2/3を左右の手に分けて握り、打ちます。中小型の網で、ポイントや魚群を狙い撃つのに適しています。

 いずれも力では無く、体の遠心力で打ちます。丁度ハンマー投げをイメージしてもらえば良いと思います。

 細川流の大きな網は、60畳に達する物も有ります。しかし漁師で無い限り、このような大きな物は普通必要では有りません。自分の狙う魚種やポイントの広さに合わせれば良いでしょう。

 細川流の大網が開く瞬間は大変美しく、勇壮です。漁としてだけでは無く、スポーツや伝統芸としても楽しい物です。今回は外来魚の駆除に使用されますが、日本の投網は本来バス・ギルなどを獲る為に設計されていません。やはり網の選択や改良が必要と思われます。

 投網の歴史は古く、土佐流は四国の土佐の漁師が、細川流は千葉県九十九里浜の漁師が伝えたと言われています。前者はアユと河口のチヌ・スズキを、後者は砂浜のキスを獲る為でした。その他では紀州和歌山に伝わる茜屋流小鷹網が有ります。これも歴史が古く、伝統が有ります。この漁法は江戸時代、将軍家(紀州家)にアユを献上する為に生み出された漁法です。当時茜屋流を使う川漁師は、名字帯刀が許されていました。しかし小鷹網はここで言う投網とは違います。独特の背の低い巻き網(刺し網)を、アユの魚道を遮断するように半円形に打ちます。

 今回はまず如水さんに基本となる手取り(網の構え)を覚えてもらい、覚えやすい土佐流で投げてもらいます。手取りは投網の大切な基本です。これが少しでも間違っていると、様々なアクシデントが起き易く、体も疲れます。

1投目、網は開く事無く団子で飛びます。            網のゴミを取り除き、再挑戦です。

 失敗の原因は、体の回転では無く腕の力で投げようとした事と、網を放すタイミングが狂った事です。これは誰もが体験する事です。最初は手取りをしっかり覚える事が大切です。網を綺麗に開ける事に執着するよりも大切です。これが間違っていると、次に人に教える場合、間違った投網を教える事に成ります。


 この日は投網の練習でしたが、5尾のオイカワと6尾のカマツカが入りました。どちらも琵琶湖の数少ない在来種なので、死なせないように気を使い、リリースしました。右上は如水さんが網を打つ事3時間、ようやく網が開き始め魚が入った所です。

 3時間で土佐流がかなり正確に開き始めたのは、優秀と言えます。手取りがしっかりしているので、今後彼は数をこなす事で磨きが掛ると思います。土佐流がしっかり出来る人は、次の細川流に挑戦すれば良いでしょう。




                                                細川流(千葉県中心

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